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40万ポンド(約5,900万円)の資金調達で、脳卒中患者対象のVR導入へ、一歩前進!(英国)

NHS(National Health Service(国民保険サービス))で運営される病院を含む、英国チェスター市のグループに、Digital Health Technology Catalyst (DHTC) プログラム(英国政府のプログラム)から453,000ポンド(約6,700万円)の助成金が支給されることが決定した、との記事です。
 助成金支給対象となった「VR脳卒中プログラム」は、「パンをトースターに入れる」等の日常動作の再習得に力点を置いており、患者は家族や介護者に依存することなく自力でリハビリを継続するができるといいます。
「VR脳卒中プログラム」を推進するチェスター大学Nigel John氏は「手頃なコスト負担で、病院でも家庭でも集中的なリハビリの継続を可能にすることで、脳卒中後ケアの期間の短縮とコスト削減をめざしています。」と語っています。
 今回助成金を支給したDHTCプログラムは、NHS(国民保健サービス)に導入可能な機器等新しいデジタル・ヘルス機器の開発に対して、今後4年間で3500万ポンド(約51億6000万円)の資金提供を行っていく予定です。

私がポイントと考えるのは、「NHS運営の病院」「コスト削減」の2点です。
NHSは英国政府が運営する国民保険サービスです。
税収などの一般財源によって賄われている医療機関のため、利用者の経済的な支払い能力にかかわらず利用が可能で、眼科、歯科、処方箋以外は基本的に無料です。
慢性的な資金不足を抱えており、医療機器や設備などの整備はままならない部分も少なくありません。
より良い医療を求め、私立の医療機関(自費診療)を選択する人も少なからずいます(自費診療をカバーする医療保険に加入している場合もあります)。
米国などの医療現場へのVR導入は、新たな付加価値を持つサービスとして導入される場合が多く、最新設備が整い高度な医療サービスを提供する医療機関が先行している印象があります。
今回の英国の取り組みは、医療全体の下支えをしている公的病院の医療の質の改善もさることながら、より直接的に医療財政の改善につなげる医療政策の一端をVRが担うというところがユニークであると思います。

[用語解説]
脳卒中: 「脳血管障害」とも呼ばれ、脳の血管がつまる(脳梗塞)あるいは血管が破れる(脳出血)ことによって起こる様々な脳の障害の全てを示す言葉です。
体が麻痺する、言葉が出ない等、損傷を受けた脳の場所により、症状は様々です。
日本でも患者数は約170万人で、介護となる原因の第1位です。
脳卒中のうち、脳梗塞が7~8割を占めています(国立循環器病センターHPhttp://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/brain/pamph19.htmlより抜粋)

[補足情報]
 NHS病院の受診は、受診にはGP(General Practice 総合診療医)の紹介状が必要です。
GP受診にもGP登録が必要で、希望するGPの登録数が許容量を超えている場合等は登録を拒まれることもあります。
また、病院受診を希望しても、GPが必要ないと判断した場合、病院受診ができない場合もあります。
 2000年、米国医療ベンチャーに勤務していた私(医師となる前)が、英国に出張した際のエピソードです。
英国の同僚がNHS病院での待機時間があり得ないほど長くなっている、と嘆いていました。
GPでがんの可能性を指摘されNHS病院を紹介されたが、病院受診まで1年待ちと言われるような状況となっているとのこと。
米国の同僚からは、迅速な治療を求め、英国から米国の病院を受診する人数が激増している、という話が出ていました。
その後状況は改善され、今に至っているようです。

https://www.digitalhealth.net/2018/10/virtual-reality-stroke-funding/?fbclid=IwAR34pVG39Dt0loUAPX4NfeCZLzZLGtADE-1MmR2kGwlVmMwyxHW597Xz1qs

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