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VR ARは医療をどう変えていくのか
- 公的医療保険中心の英国の場合-

今回の報告は英国からです。「医療領域でVR・ARの活用が先行しているのは、民間保険で医療サービスが提供されている国々である。」という著者の意見にうなずく方も多いでしょう。米国はその典型です。その背景としては、民間保険毎に保険対象を決めることが出来るため、保険適応となる実績を徐々に積み上げていくことが出来る、といった特徴があります。英国は、NHS (National Health Services)という英国政府が運営する国民保険が医療サービスの根幹となっています。税収などの一般財源によって賄われおり、利用者の経済的な支払い能力にかかわらず利用が可能で、眼科、歯科、処方箋以外は基本的に無料。慢性的な資金不足を抱えています。

NHSの下で医療サービスが行われている英国でも、手術シミュレーターや暴露療法等、VR.ARの活用は徐々に進んでいると報告されています。中でも私が興味深いと感じたアプローチは、グレンフェル・タワー火災の生存者や遺族に対する精神科のアウトリーチ(訪問型支援サービス)に利用されているVRです。グレンフェル・タワー火災は、2017年6月にロンドン西部で起きた低所得者向け公営高層住宅「グレンフェル・タワー」の火災で72人が犠牲になった悲劇です。生存者や遺族の中には、PTSD等、専門的な治療が必要な状態であるにも関わらず、医療機関を受診せずに症状を悪化させてしまうケースが多かったとのこと。対応策として打ち出されたのがアウトリーチです。医療スタッフは白衣を着用せず、私服で地域に出向き、アイスブレイクとして、エンターテイメント系VRを活用しているのです。「ジェットコースターを体験してみませんか?」と声をかけ、VR体験後の緊張がほぐれたタイミングで、簡易なスクリーニング・テストを受けてもらうのです。受診が必要と判断された場合、医療機関へ繋ぐことができるようになったというのです。

医療でのVR・AR活用というと、医療用に開発されたVR・ARのみをイメージしがちです。精神科受診のきっかけを作る目的で、身近で安価なVRコンテンツを活用するという自由な発想は、医療におけるVR・AR普及を図る上でユニークかつ有効な一手であると感じました。

https://www.zdnet.com/article/vr-ar-and-the-nhs-how-virtual-and-augmented-reality-will-change-healthcare/?fbclid=IwAR3y4sEK8zhFnHxcYlUm-cvYVgp-dQL18q98jLAo7riUB0RjzLuCEVBENOo

[補足情報]
NHS
https://www.nhs.uk/

グレンフェル・タワーの火災
https://www.bbc.com/japanese/44478497

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