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VRががん患者にもたらすメリット
-教育ツールとしての可能性と難しさ-

トリプルネガティブ乳がん(下記参照)と診断された女性の「これまでの人生でずっと『放射線は危険なので、避けなければならない』と言われて続けていたのに、治療とはいえ『私に放射線を当てていいですよ』と許可するなんて・・・。怖いことです。」という思いに医療側はどう応えることができるのでしょうか。
 一つの答えは、VR Distraction(気をそらすこと)による、不安や怖れの軽減です。病院側は、VR活用の第一歩として、放射線治療室の待合室にリラクゼーション映像を観ることが出来るVRを設置。実際、前述の女性もVRでリラックスできる体験を高く評価しています。次のステップとして病院側は放射線治療施設のVRツアーを開発中。更に、がんに関する教育用コンテンツの制作を予定しているとのことです。
 「どこまで個別化するのだろうか?」医師として私がまず感じた素朴な疑問です。「治療ガイドライン」に則って標準的な情報をVR化するのでは、「自分こと」として治療を受けるがん患者さんにとって、あまり有効ではないと思うからです。患者さんが切実に求めるのは「ほかの誰でもない『私』の治療」に関する情報です。病棟担当医であった頃、一人一人のこの切実な思いにどう応えるかに日々悩みながら「最善と信じる方法」を模索していました。どのような「がん教育用VRコンテンツ」が制作されるのか、注視していきたいと思います。

https://www.phillyvoice.com/penn-medicine-virtual-reality-benefit-cancer-patients-radiation-oncology/amp/?fbclid=IwAR2EJQ98iMLbDoRBEX7cfHFmR2U3ERXpzuZ89Z_47TU9zcNVyM93mBxvzME

 

[補足情報]
トリプルネガティブ乳がん:
 乳がんのタイプの1つです。女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)により増殖する性質をもたず、かつ、がん細胞の増殖に関わるHER2タンパクあるいはHER2遺伝子を過剰にもっていないという特徴をもちます。3つの陰性(エストロゲン受容体陰性、プロゲステロン受容体陰性、HER2陰性)を意味してトリプルネガティブといわれます。
 ホルモン療法も、HER2を攻撃する分子標的薬も有効ではないため、治療の選択肢が限られます(主に抗がん剤治療を行います)。乳がん全体の約10〜15%を占めています。


国立がん研究センター がん情報サービス 乳がん
https://ganjoho.jp/public/cancer/breast/diagnosis.html

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